ご主人さまの冷酷彼氏
……そして迎えた、4時間目。
あまりにもタカシにキレすぎて、血管が破裂しそうだったおれは、ヤツの観察をいったん中止。
いやしを求めて、あかねの調理実習の授業を、見学しに向かった。
今日、あかねのクラスは、女子だけ家庭科室に集まって、カップケーキを作るらしい。
そういや、気ぃ張っててきづかなかったけど……腹減ったな。
キツネ色のふっくらしたケーキを想像したら、体の奥が、きゅうっと反応してしまう。
家庭科室は、1年生のクラスと同じ、1階にあった。
窓枠にはりつき、おれはひょこっと、中の様子をのぞく。
……おっ!あかね発見。
たくさんの女子の中から、おれは一瞬で、あかねの姿を見つけ出した。
「おいしくできるといいねー!」
「ねーっ!」
ニコニコしながら、友達と話しているあかね。
かわいいエプロン姿に、ささくれだっていた心が、一瞬で安らぐ。
……あー、ほんとにかわいいよなぁ。
ため息まじりに窓枠に寄りかかると、おれは目を細めて、つぶやいた。