ご主人さまの冷酷彼氏
制服を着崩している、一人の男子。
赤っぽい髪に、耳にはピアス。
見るからに、チャラそうな風貌だ。
……なんだ、こいつ。
ムッとして見ていると、赤髪チャラ男はズイッとあかねに迫り、にんまりと笑ってみせた。
「カップケーキ作ったんだろー?余ってねーの?」
「えっ」
「俺、あかねちゃんの食べたいなー」
「あ、あの……っ」
あまりにグイグイくる赤髪チャラ男に、あかねはすっげー、困ってる様子だ。
……この男、あかねのクラスメートか?それとも3年か?
知らねーけど、お前みたいなチャラっチャラしたやつに、あかねのケーキをくれてやるわけねーだろうが。
そのへんの雑草でも食べとけ、あかねに近寄んな。
今すぐ飛び出ていって、赤髪のほっぺたを引っ掻いてやろうかと思ったが……
……いや。ちょっと待てよ。
すんでのところで、踏みとどまる。
胸のなかをうごめく、まったくべつの、もう一つの感情に気づいたからだ。