ご主人さまの冷酷彼氏
欲望ををふりきって、俺はずんずんと、歩みを進めた。
目指すは1階にある、1年2組。タカシがいる教室だ。
……そう。
これも、あかねたちの電話を盗み聞いて、知った情報なんだけどさ。
タカシのやつ、どうやら、1年生らしいんだよ。
……年下だぜ?まだコドモのくせにあかねと付き合うなんて、生意気な野郎だと思わねえ?
1年2組の外窓は、全部開け放たれていた。
……さて、どいつがタカシだ?
窓からこっそりと中をのぞいて、おれはくまなく、目を光らせる。
……一番背が高いのは、あの茶髪か?
うーん、なんかイケてねーなぁ。
なんだよそのまるい髪型。
オシャレのつもりかもしんねーけど、ただのキノコだろ。
そのとなりは……なんだよその、ふっとい赤ブチメガネ。
こいつもオシャレのつもりかもしれねぇけど、売れないお笑い芸人みたいになってんぞ。
そんなふうに、男ども全員を一通り評価して。
おれはハンッと、失笑をもらしてやりたくなった。