ご主人さまの冷酷彼氏
……どいつもこいつも、まだまだ未完成っつか、田舎臭えなぁ。
あかねの可愛さに釣り合うヤツなんて、1人もーー
ーーがらり。
そのときちょうど開かれた、教室のドア。
そこから入ってきた男子生徒の姿に、俺はぎょっと、目を丸くした。
そいつは、周りより頭一つ分、背が高かった。
同じく高い鼻に、きりっとしまった目元。整っていると認めざるを得ない顔立ちだ。
くわえて、前髪をアシンメトリーに流した、絶妙にあかぬけた髪型をしてやがる。
「貴志くーんっ!!」
その男にむかって女子の黄色い声が飛んで、おれはさらに、目をかっぴらいた。
……こ。
こいつ……こいつがタカシか……!!
おれからあかねをうばった、にっくき恋敵。
体がわなわなとふるえるのを感じながら、おれは視線に憎悪の念を込め、タカシにガンをとばした。
穴があくほどギロリと見つめて……
……くっそ。イケてないところをなんとか見つけてやろうとするけど、とくに見当たらねぇ。
ぐぬぬ、と奥歯を噛み締めているおれに気づくことなく、タカシはすずしい顔をしている。