普通なお嬢様の極秘恋愛
「……でも?」

「……帰らない」

「凛っ!」

お母さんが声をあげた。

「わたしだけじゃなくて、お屋敷の皆さんも、お父さんも心配してるのに……!

森下君やお母さん、ゆりまで……旅館の人々まで巻き込んで!

凛、ワガママはもうおよしなさい、わたしと一緒に帰るのよ!」

右手でバックを、左手でわたしの手を引いて、お母さんは立ち上がろうとした。
わたしはそれをいやいやと抵抗していた。

お父様の前じゃなければ、お母さんもそこそこ言いたいこと言うんだな、とか思いながら。

「嫌! どうして家出したと思ってるの?
わたしがどんな気持ちで……!

今帰っても元に戻るだけ、何も変わらないから……だからっ……!」
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