普通なお嬢様の極秘恋愛
ほぼ引きこもり状態だけど、中学生のころとは違うことがある。
それは、友達が訪ねて来てくれるってこと。

花歩ちゃんがよく来てくれた。
遊んだり夏休みの宿題をしたりして過ごした。

時々、可奈子ちゃんや由美ちゃんも来てくれた。

安達君も、わたしを笑わそうとしてくれているのか、よくおちゃらけながら話しかけてくれた。

日に日に笑顔になることが増えていった、と思う。
お屋敷の皆さんも、ほっとした表情をすることが増え、わたしに話しかけてくれることも増えた。

みんなの気持ちが嬉しい。
嬉しいよ、この気持ちは本当!

ただ、翔護がいない……。

寝る前も、朝起きた時も、真っ先に思い浮かべるのは翔護の笑顔。

花歩ちゃんといても、部屋で食事をとっていても、いつでも脳裏に浮かぶのは翔護のこと。

そもそも想いを断ち切れるわけがない。
嫌いで別れたわけじゃないんだから。

でも、そんなこと言えない。

わたしは周囲にこれ以上心配と迷惑をかけないように、毎日笑顔で過ごしている。

まるで仮面をかぶっているみたい。
心とは全然違う顔をして過ごす。
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