5男1女の兄妹の長い1日 これって禁断の恋? 
思い出のピアス
玄関を開けると良いにおいがする。

「うーん いいーにおーい」

さっき遅めのお昼ごはんを食べたけど美味しそうな匂いにお腹が空いてきた。
聡兄さんと璃兄さんはリビングに入って行ったが私は啓兄さんが居るであろうキッチンに向かった。

「啓兄さん、ただいま!」

キッチンでは啓兄さんが白いシャツにGパン、ソムリエエプロンで料理を作ってくれていた。
細身の啓兄さんだけど、シャツの袖をまくり上げて出ている腕はとても逞しい腕をしている。
啓兄さんはいつも『俺の仕事は体力のいる仕事だからな』と言っていつもトレーニングをしている。

啓兄さんのエプロン姿はいつ見ても格好いーぃ。
イケメンシェフと言われお客さんが厨房での姿が見たいと言うだけはある。
啓兄さんは料理をしている手を止め私を見てくれる。
そして啓兄さんは目を丸くして驚いているようだ。

「み……」

啓兄さん?

「啓兄さんどうしたの?」

啓兄さんは私の側まで来ると優しい眼差しで見つめてくれる。

「美侑、綺麗だ…」

「有難う、今日ね、璃兄さんの撮影に出させて貰って…」

「撮影ってどういう事だ?」

撮影の事を話し始めたら啓兄さんの表情が変わった。
いつも優しい啓兄さんが怒っているようだった。
私は慌てて弁解をする。

「私がお願いしたの…でも、顔はほとんど出ないから大丈夫だよ!」

「ならいいけど…」

「それで洋服を璃兄さんに買って貰ってヘアーメイクは聡兄さんにして貰って撮影したんだよ」

「そうか、楽しかったか?」

啓兄さんの表情はもういつもの啓兄さんに戻っていた。

良かった…

「うん、でも私には向いてないと思った」と苦笑する。

「そうだな美侑はそんな世界に入って行かなくても良い俺の側に居てくれ、ずっと俺の隣に居て欲しい愛してるんだ、美侑の事を愛してる…」

啓兄さんの優しいキスが落ちて来る。
そっと私を包み込む様に抱きしめてくれる。

啓兄さん…
みんなどうしたの…
私も兄さん達のことは大好きだよ!
いつまでも兄さん達と一緒に居たい…

啓兄さんは唇を離れても私を抱きしめて耳元で「美侑が好きだ、愛してる」と囁いてくれた。

「啓兄さん…有難う…」

「美侑これは誕生日プレゼントだよ」

啓兄さんは小さなハート型の箱を手渡してくれた。
貰った小さな箱を開けるとピンクダイヤのピアスが入っていた。

素敵…
ママもピンクダイヤのピアス持ってた…
でも、宝石箱には無かった…

大学に入って直に『私ピアス着けたい』と言ったら兄さん達に反対されたっけ…
でも、私は諦めずに兄達を説得したんだよね。

『もう大学生なんだよ?お洒落もしたいのお願い』と言って。

しかし、啓兄さんだけは許してくれなかった。

『美侑、ピアスは耳に穴を開けないといけないんだぞ!わざわざ体に傷を付けなくてもいいだろ?お洒落をしたいならイヤリングで良いんじゃないか?』

『だって友達もやってるのお願い』

『友達は友達だ!』

『だってママのピアスが着けたいんだもん…』

私がそう言うと啓兄さんは『仕方無いな…』と許してくれた。

その啓兄さんがピンクダイヤのピアスをプレゼントしてくれた。

「啓兄さん有難うでも高かったよね?…」

「そんな事ないよ美侑の特別な日なんだからそんな事気にしなくて良いよ、出きたらいつも着けて欲しいな」

「うん、大事にする有難う」

「さぁここは良いから向こうに行ってなさい」

「はい」

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