才川夫妻の恋愛事情



「ん……んん! ん!」



ドン、ドン、と彼の胸を両手で叩いた。離れて、と言っていることが、それで伝わらないはずがない。――注目されていることがわかる。たくさんの視線を感じて、頬がカッと熱くなる。才川くんは口を離すどころか、私の頭の後ろに手を掻きいれて更に奥へと舌を伸ばしてきた。首の裏を撫でていった指に、ゾクっとする。

私の抵抗なんて無力だとでも言うように、頭を抱いて、体を抱いて、丸め込むようにしてキスは続いた。







数秒経って。

唇を解放されると、離れて言った才川くんの口と自分の口の間に唾液の糸が伝う。



「……だっ……大丈夫か花村ぁーっ!」

「ちょっと才川くん……! それはいくらなんでも、やりすぎ……」



周囲のたしなめる声が響いて、私は正気を取り戻す。……正直、途中から何も考えられなくなっていた。相変わらずキスが巧くて、ずるい。

周りのみんなが引き剥がそうとするのをものともせず、才川くんは〝んー〟と甘えるように頬にキスをしてきた。

ご機嫌すぎて怖い!

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