才川夫妻の恋愛事情



恋をしています。







*








目の前にある顔の、頬をペタペタと触る。特別なケアは何もしていないはずなのに、きめの細かい綺麗な肌にため息が出る。

そこから滑るように鼻へ。規則正しく静かな寝息に、いつ起こしてしまうかと冷や冷やしながら、それでも触れるのをやめない。すっと通った鼻筋が整った顔立ちを際立たせるんだろうなぁと冷静に分析する。

そして、まっすぐ下に人差し指でなぞると辿りつく薄い唇。眠っている間きっちりと閉じられている才川くんらしい唇。この唇が、ちょっとだけ笑っているときの表情が好きだ。

最後に、閉じた瞼の先から伸びる長い睫毛。その下の、彼が起きているときの切れ長の目を思い浮かべて、限界がきた。

…………しぬ! 恥ずかしすぎてしぬ! 好き……!



ベッドの中で彼を起こさないように密かに身悶える。





なぜ今、こんなに舞い上がっているのか。

それは眠っている才川くんの顔を間近で観察して、あらためてその造形一つ一つが自分の好みどストライクなことを確認したからです。旦那さん相手に何を馬鹿なことを……と自分で思いながらも止まらない。ほんとに、どれだけ彼のビジュアルが好きなんだ私は。でも好きなのは決してビジュアルだけじゃなくて……! と心の中で、誰にともなく弁解しだすともうキリがなかった。



閑話休題。



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