二度目の恋
『あ、あの…大丈夫ですか?泣き声が』
聞こえないって言おうとしたら
ふぎゃっ、ふぎゃーっ、と
小さな泣き声が聞こえた
白いタオルに包まれ、白い帽子を被せられ、私の横へと置かれた
「おめでとうございます、かわいい女の子ですよ」
ふぎゃっふぎゃっ泣いている我が娘
嬉しくて、涙が出た
……あれ?
『一輝?』
さっきまで私のそばにいた一輝が見当たらない
「あらら?旦那さん、感動しちゃったかな?うん、うん。奥さん頑張ったもんね」
看護師さんの視線の先を手繰ると
背を向け、目を手で押さえている一輝がいた
頬には伝う涙が見えた
少し席を外しますね、と
看護師さんが出て行った
『一輝』
何度か呼ぶと、鼻をすする音と
深呼吸した音がした
「美奈、」
一輝の目は赤い
そんなに泣いたのかって笑えた
「ありがとう、よく頑張った!美奈は凄いよっ、美奈、ありがとう」
そう言って、私のおでこにキスを落とした