溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜




 つられただけ、か。
 いちいち、そんな説明しなくていいんだが、と思いながら、昌磨がカウンターのところに行くと、

「なに? 昌磨さん、もうおかわり?」
と良が言ってくる。

 違う、と言うと、皿を片付けながら、良は言った。

「花音さん、一人にしといていいのー?
 結構、男一人の客居るよ」

「此処、そんなところじゃないだろ」
と顔をしかめる。

 此処は、ナンパするような男が軽く入って来れるような店ではない。

 だが、良は、
「そうだけど。
 花音さん、黙ってれば、おしとやかな美人に見えるし。

 こういうとこに来る男が好みそうだよね」
と言う。

「あの上品な感じの美人は一人で来たのかな。
 こんなところに来てるってことは、俺と好みが合いそうだ。

 こんな出会いは滅多にないから、声かけてみよう! なーんて」

「……良」

 リアルに言うな。

「ま、話したら、だいぶんイメージは狂うとは思うけどね」

 皿を片付けながら、薄情にも言い捨て、ははは、と笑う。
< 116 / 232 >

この作品をシェア

pagetop