溺愛御曹司の罠 〜これがハニートラップというやつですか?〜
つられただけ、か。
いちいち、そんな説明しなくていいんだが、と思いながら、昌磨がカウンターのところに行くと、
「なに? 昌磨さん、もうおかわり?」
と良が言ってくる。
違う、と言うと、皿を片付けながら、良は言った。
「花音さん、一人にしといていいのー?
結構、男一人の客居るよ」
「此処、そんなところじゃないだろ」
と顔をしかめる。
此処は、ナンパするような男が軽く入って来れるような店ではない。
だが、良は、
「そうだけど。
花音さん、黙ってれば、おしとやかな美人に見えるし。
こういうとこに来る男が好みそうだよね」
と言う。
「あの上品な感じの美人は一人で来たのかな。
こんなところに来てるってことは、俺と好みが合いそうだ。
こんな出会いは滅多にないから、声かけてみよう! なーんて」
「……良」
リアルに言うな。
「ま、話したら、だいぶんイメージは狂うとは思うけどね」
皿を片付けながら、薄情にも言い捨て、ははは、と笑う。