溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
「拓海のせいだけど、拓海のせいじゃないよね。

 私が――」

 言い終わらないうちに、いきなり、拓海が腕をつかんで、口づけてきた。

 逃げようと思ったのだが、強い力で、後ろ頭を押さえつけられていた。

「ん……っ」

 やめてっ、と押し返すが、拓海は離さない。

「拓海なんて、大っ嫌いっ!」

 ようやく離れた拓海に叫ぶと、拓海は笑いもせず、こちらを見ていたが、
「そういえばよかったんじゃないのか?」
と言ってくる。

「え」

「あのとき、そう言えばよかったんじゃないのか?

 俺がそうであったように、お前は俺との関係を壊したくなくて、俺に不満をぶつけることもなく、呑み込んだ。

 だから、あの程度のことがトラウマになったんだ」

「あの程度って……」

「お前、イタリア居たくせに、キスのひとつやふたつ、なんなんだよ」

「そういうのと違うよ。
 だって、拓海がいつもの拓海と違ってて、すっごく怖かったんだよっ。

 拓海がなにをしようとしてたかってことじゃなくて、そこのところが怖かったのっ」
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