早く俺を、好きになれ。
そんな叶ちゃんの姿が自分と重なって、胸が張り裂けそうだった。
なんの努力もしてないのは私も同じだ。
「あたし……男子とどんな風に話せばいいのかわからなくて。普段から騒ぐ方じゃないし、少人数でいる方が好きだし。クールで無愛想だから、誰も声をかけてくれないし」
普段の冷静さはどこへやら、叶ちゃんはオロオロし始めた。
「1年の時……クラスの女子と揉めたの。体育の授業で、気分が乗らなくて仮病を使ったことがあって。その日の見学者があたしだけだったのね」
叶ちゃんは苦しそうにポツポツ話し出した。
一生懸命伝えようとしてくれてるのが伝わって来て、私も精いっぱい耳を傾ける。
体育が終わってからみんなよりも早く教室に戻った叶ちゃんは、本当に具合が悪くなって机に突っ伏して寝ていたんだそうだ。
みんなが戻って来てしばらくした頃。
『あたしのサイフがないっ!!』
クラスの女子が叫んだ一言に教室中がざわついた。
その子が最後にサイフを見たのは、体育が始まるほんの直前。