早く俺を、好きになれ。
喉の奥が熱くなって、涙がジワジワ溢れてくる。
胸が苦しくて仕方ない。
黙り込むってことは、肯定してることと同じなんだよ?
「好きなら……勇気を出してもう1度ぶつかってみなよ」
こんなこと……関係のない私には言われたくないかもしれない。
私もホントはこんなこと言いたくない。
でも。
2人は勘ちがいしてすれ違ってるだけで、本当は両想いだから。
武富君のムリに作った笑顔は見ていたくないから、本当は嫌だけど誤解を解いて仲直りしてほしいよ。
苦し紛れに笑う武富君を見るくらいならその方がマシだもん。
だから、今回だけは武富君の背中を押してあげる。
「柑菜はもう俺のことなんて」
「武富君、本当は図書室から調理室を見てたんだよね?」
前に図書室で会った時に気付いたよ。
サッカー部の練習を見ながら、調理室も見てたことに。
私たちはいつも窓際で作業してたから、織田さんの姿が見えたはず。
「好きなら諦めないで。武富君は……間違いなく小説の主人公なんだから」
脇役なんかじゃなくて、れっきとした主人公なんだから。
涙がこぼれそうになって歯を食いしばる。
どれくらいそうしていただろうか。
「市口さんって……とんだお人好しだな」
フッと笑われたけど、武富君の声には元気がなくて。
胸が痛い。