早く俺を、好きになれ。


まるでそう言われるのをわかっていたみたいに、虎ちゃんの足が止まる。


いつもは頼もしい背中がものすごく弱々しく見えて、胸が締め付けられた。



「話って?さっきのことなら、俺はもう気にしてないけど」


「…………」


「咲彩にその気がないのはわかってたし、弱味につけ込んだのは俺の方だから。勝手に傷付いたのは俺なんだし、咲彩が悪気を感じることなんかねーよ」


「で、でも……」


「俺がいいって言ってんだから。これからも今までみたいに」


「それは……ムリ、だよ」



虎ちゃんのまっすぐな気持ちを知った以上、今までみたいになんてできない。


もう、甘えるだけは嫌なの。



「今までちゃんと返事をしなくてごめんね。虎ちゃんの気持ちは……すごく嬉しかった。でも、虎ちゃんとは付き合えない」



今まで頼ってばっかでごめんね。


苦しめてごめんね。


傷つけて、ほんとにごめん。



「私……虎ちゃんの優しさに甘えてばっかりで。虎ちゃんの気持ちなんて全然考えてなかったよね」



虎ちゃんの優しさに支えられて、今日までやって来れた。


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