早く俺を、好きになれ。
「何してんだよ?」
背後から低い声が聞こえて、思わずビクッと肩が揺れる。
よく知るその声は、虎ちゃんのものだった。
「あ……えっと……虎ちゃんいるかなーって」
「なに、待ち伏せ?」
「あ……うん」
「ふーん。で?」
なんだか虎ちゃんには似つかわしくない冷たい口調。
こんな態度を取られるのは初めてで、なんだか胸がザワザワする。
「最近、部活出てないって蘭に聞いて……何かあったのかなって心配で」
「咲彩に心配してもらう筋合いはないと思うけど」
「……っ」
それは、そうだけど。
そんな言い方しなくても。
声を詰まらせた私の横で、虎ちゃんは何事もなかったように靴を履きかえた。
そして、すぐに立ち去ろうとする。
突き離したのは私なのに、虎ちゃんの態度に傷付くのはまちがってる。
でも、胸が痛くて仕方ない。
「な、何かあったの?心配なんだよ」
私はとっさに虎ちゃんのあとを追って、前に回り込んだ。
「べつになんもねーよ。つーか、今さらなに?」
「え……?」
「今まで避けてたくせに、急になに?」
虎ちゃんの言葉とは思えないほど冷たい響きを含んだその声。
突き離された気がして、胸がズキッと痛んだ。