我追う者は去り。
翌日───
ジリリリリリリ
機械音と共に、我は目覚めた。
「インタイド・アフザー・ケタタマス」
そして、朝の呪文を呟いた。
決して、中二病ではない。
ただの、呪文である。
門を、開き階段を下る。
リビングに出ると、両親の阿呆づらのことよ。
兄は、顔が固まっている。
なにをジロジロと。
「あ、あ、え、おはよう。」
母は明らかに動揺している。
「おはよう。」
我は、そう言って椅子に腰掛けた。
「…琥烏?その、…」
母が言いたいのは、何故朝起きて制服に着替えてわれがこの場で座っている、ことを聞きたいのだろう。
「我…あ、俺…学校行く。」
我、といいかけやめたのは、やはり妹のセリフ「話し方キモイ」のせいである。
そして、俺のセリフを聞いた兄は「はあ!?」の一言に父は新聞を読んでいるが視線は我。
母は腰が抜けたように、座り込んだ。
「早く、朝ごはん。」
我は、軽く母を見やると強敵である兄に視線をうつした。
「お前、どういつつもりだ。」
兄は驚きが隠せないのだ。
「別に」
「どーせ、早退してくんだろ!」
ニヤ、と笑った兄。
くそぅ、こ奴…
我の意地を見せつけてやる。
「いいや、これからずっと通う。」
グシャッ
父が新聞紙を強く握ったために、破れた音が響いた。
共に、母はご飯茶碗をバリン、と割ったのである。
なんなんだ、この騒ぎは。
「お母さん、お父さんなにしてんだよ…」
呆れて我は言うが、兄はニヤニヤを止めずにいる。
気色悪い。
「えっ!?なんで。」
と思いきや、階段から下りてきた妹も我をみて驚いていた。
「学校に行くだけ、だ。」
我の言葉を聞くと、静かに妹は母の元に行き
「お母さんお母さん!どうしよ、え!なにこれ!?」
と失礼な奴である。
…はぁ、もういい。
我は、立つと階段を上り始めた。
「なんだ?もう行くのをやめたのか。
負け犬にも程がある。はははっ!さっすがだなー」
でたでた、これが兄の馬鹿だ。
「違う。鞄を取りに行くんだ」
そう言ってまた上り始めた。
リビングから全員の話し声が聞こえた。
きっと、我。
いや、きっと、ではなく必ず我の話だ。
「じゃあ。」
玄関のドアを開けると、母がリビングからやって来て「気をつけてね。」と。
なんて温かみのある一言。
「うん。」
そして、ドアを閉めた。