優しくて温かい場所(Gently warm place)

∴∴智②



無事に教員採用試験に合格し
高校の教師として
教壇に立つ毎日が始まった。

はじめは、慣れなくて
わからないことも多く
父に聞いたり、
母に訊ねたりしていた。

暫くすると、なんとか、
自分のペースを掴み
落ち着いていった。

疲れて家に帰れば、
咲桜がいて、食事を作ってくれて
俺を待っていてくれて
俺は幸せだった。

学生達からも
「先生、彼女いますか?」
と、訊かれる度に
「おぅ、いるぞ。
めちゃくちゃ綺麗で、
優しい彼女が。」
と、答えると
「ええっ、本当に?」
「嘘言ってなんになる。」
「会ってみたいな。」
「だめ、あいつは、俺のだから。」
「へえっ・・先生、ベタぼれ
鼻の下が、のびてるよ。」
「ばか、大人をからかうな。
まあ、惚れすぎて怖いくらい。」
と、正直に答えると
生徒達は、冷やかしながら
去って行った。

本当に、俺は咲桜に
ぞっこんで、早く咲桜が
大学卒業しないかと
待ちわびていた。

咲桜が、大学を卒業したら
俺は咲桜と直ぐに結婚するつもりで、
指輪も用意していた。

咲桜は、家族に良い思いがない
お兄さんとは、仲良しみたいだが
今、海外に行かれてるみたいで
父親は、まったく咲桜に構わないし
今の母親には、邪険にされている。

唯一の拠り所は、親友の綾華ちゃん。
俺の家にいないときは、
綾華ちゃんの家にいる。

綾華ちゃんの両親は、
殆ど日本にいないらしい。
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