優しくて温かい場所(Gently warm place)

∴∴智の思い 咲桜の解放

俺は、咲桜のお兄さんの話を聞いて
俺は、咲桜に守られたのか?
俺は、そんなに頼りにならなかったのか?
自分でも、わからなかった。

「先日、咲桜さんに偶然合いました。
私は、その時、咲桜さんを責め立てました。
だが、咲桜さんは一言も反論しなかった。
私も結婚しています。
咲桜さんは、だから今更と
言ってました。

私には、今更、咲桜さんを幸せには
してやれません。

やはり、どこかで
あの時、なにも言われずに
去られたことは、根強く
私の中に凝りとなって
残っています。

だが、当時の事がわかり
良かったです。
ありがとうございました。」

「そうですか?わかりました。

俺は、貴方は今でも咲桜を
想ってくれてると
思っていましたが、
間違いだったようです。

お時間をさいて頂き
すみませんでした。
幸せに暮らしてください。
俺は、咲桜を助け出す。」

と、言って料亭を後にした。

俺は、翌日咲桜を呼び出し
話をした。

「咲桜、お前、神崎と別れて
イギリスに行け。

イギリスのママの兄妹達は、
お前と暮らしたいそうだ。

いつまでも、柳の家に囚われるな
今まで、どれだけの事を
我慢して生きてきた?
もう、いい。

もう、開放されて
お前自身の幸せを掴め。」
と、言うと

咲桜は、ボロボロと泣いて
「いいの?私が、幸せになっても
柳も神崎も捨てていいの?
お兄ちゃんの迷惑にならない?」
「ああ、なんの支障もない。
俺は、それだけの力をつけてきた。

咲桜、すまない。

俺が、もっと早く助けられたら
良かったのに。」

「いいの、お兄ちゃんも沢山辛い
思いしてきたんだから。

明日、子供達に話して
イギリスに永住する。

ありがとう、お兄ちゃん。
本当に、ありがとう。」

「神崎には、俺が話すから
心配するな。」
と、言ってくれた。
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