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花菜の記憶

第2回

井原家 佐久間家 対面



今日は、大人しい亜依里

この前、よっぽど怖かったらしく

座り方もピシッとしている



「それで、花菜を返して頂けるのでしょうか
まさか、このままってことは…
ありませんよね?」



朔哉の父親は、威厳があるっていうか

俺もちょっとビビる


なので、亜依里は小さく

「ヒィーーー」


と言ってる


「申し訳ありませんが…
まだ… 中身が亜依里なんです」

「花菜を返せ!!!」


父親が怒鳴り始め、母親と朔哉が止める

どうしていいか、わたわたしていたら

「え?どうした!?亜依里?…亜依里!!」

恐怖のあまり、失神したらしい


「その子は、花菜だ!!!
亜依里なんて、勝手に呼ぶな!!!」


張り上げられた大声に


目を覚ます……


「あんた、誰?」

「え? あ? 花菜ちゃん?」

「ちゃんとか、キモイ
なんで、あたしの名前知ってるんだよ?
つーか、見たくない奴ら勢ぞろい」

ゴソゴソと俺から離れる
口調とか、動きが亜依里じゃないから
花菜ちゃんだよな?

「何?この状況
朔哉!説明しろ!」

「はい!」

朔哉… 妹恐ぇって言ってたな

倒れてから手術して、今に至るすべてを
朔哉は上手に説明した

花菜ちゃんは、つまらなそうに聞いていた


「あたし、延命しないって言ったよね?
葬式代がなんで、手術代にかわったんだよ
ざけんなよ!!
死んで欲しかったくせに!!」


そう言って、花菜ちゃんはバタバタと2階へ


ダダダダッと降りて来て


「2度と親面すんな!
朔哉!お前も兄貴面すんな!!
あたしは、家族なんかいらない!!」

出て行こうとする花菜ちゃんの前に

朔哉が立ちはだかる

「借りてた部屋は、引き払ったぞ
花菜!!お前の家は、ここだ!」

「勝手なことすんなよ!!
おい!お前!!名前は?」

「伊緒里」

「とりあえず、伊緒里の家に行く!!
迷惑だろうけど!!連れてけ!!」

まるで、猛獣のように

ぎゃあぎゃあ言って、俺と母さんの手をひき

「ほら!帰るぞ!!亜依里もここにいたくないって言ってるぞ!!」


なんて、強引なんだ…






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