【完】365日、君をずっと想うから。


「まさか花の家まで、この距離保ったまま行くんじゃねぇだろうな」



「えっ?」



おずおずと向坂くんの隣に歩みを進めた私は、思わず向坂くんの方を仰ぎ見た。



私が足を止めたことに気づいたのか、向坂くんの足も止まる。



「いいよっ、お家までなんて」



一緒に帰るって、同じ通学路のとこまでだと思ってた……。



「は? なんでだよ。
俺が送るっつってんだから、送る」



「ううん、でも、だめ。
お願い」



いくら向坂くんでも、お家まではだめなの。



だって……



必死に訴えかけるような私の目と、困惑したような向坂くんの目が、静かにぶつかりあった。



と、そのとき、静止を破るようにプルルルと突然電話の鳴る音が聞こえてきた。



音がしたのは、向坂くんの方から。



ポケットからスマホを取り出し、電話に出た向坂くん。



「もしもし、シノ?」

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