太陽を追いかけて


そんな私の気持ちも知らず、蒼汰はりんと話し始めた。


「……りん、久しぶりだな」

「蒼汰くんこそ、久しぶり。なんにも変わってないね。変わったことといえば、背がすごく伸びたことかな」


いたずらにふふっと笑うりんを見た蒼汰の表情が少し和らいだように見えたのは私の勘違いなのかな。


勘違いであると思いたいけど、りんと話す蒼汰の顔はとても優しかった。


その瞬間、ものすごい不安に襲われた私は、つないでいた蒼汰の手を思わず少しだけ握った。


そしたら蒼汰は私を見て、


「りんは小学校のときの同級生。……とりあえず、俺らも電車に乗ろうか」


って言ったから、私は大人しく頷いて蒼汰に引かれるまま電車に乗り込む。


それからすぐに電車は動き始めた。


電車に乗ってからもふたりはふたりの世界に入っていて、私の入る隙間なんてないみたいに思えた。


私の胸の奥底で、消えたはずの黒いモヤモヤが再び胸の中を汚していく。


……りんはまたそうやって人の彼氏をとるの?


私と蒼汰が手つないでるの、気付いてるよね?


また翔平をとったときみたいに、蒼汰のことも私から奪おうとしてるんだろうか。


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