太陽を追いかけて



いや、でも、それはないか。


だって今でも翔平のことを思い出して胸が苦しくなるし、りんのことを思い出すとどうしようもないくらい胸がキリキリと痛くなる。


りんと翔平が付き合い始めたときから今まで、りんが嫌いだと思う気持ちは微塵も変わってないし、りんよりも幸せになってやると思う気持ちは大きくなるばかり。


「……はぁ」


結局自分でも、翔平への恋心が薄れているのか、薄れていないのか、ますます分からなくなった私は考えることをやめた。


前では委員会決めが流れるように行われている。


気付いたら私は、最後のひとりに残っていた。


……嘘でしょ?


枠が開いているのは、体育委員のところだけ。


「あと残っているのは、宮原さんだね。宮原さん、このままだと体育委員になっちゃうんだけど、大丈夫……?」


……本当は大丈夫じゃないって言いたかった。


でもそんなに優しい聞き方をされると、うんと頷いてしまう。


私の性格上、断れないしな……。


「……体育委員、やります」


仕方なくそう答えると、黒板の前に立っている私たちのクラスの女子委員長は、にっこりと笑って、


「宮原さん、ありがとう」


って黒板に私の名前を書き始めた。


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