太陽を追いかけて


お母さんは私が玄関を出る最後まで心配そうな顔をしていたけど、いってらっしゃいと手を振るときはいつものような優しい笑顔に戻って私を見送ってくれた。


……ごめんね、お母さん。


いつも私のためにたくさん働いてくれて。


あと2年。


あと2年すれば、私もちゃんと仕事に就いて、親孝行するから。


……なんて思っていながらも、本当に自分の中で思ってることは違う。


自分ではどうしようもできない矛盾しているこの気持ち。


嫌いだ。


自分の思っていることがなんにも言えない自分も、素直になれない自分も、全部全部。


りんのことが大嫌いだと言っておきながらも、本当は気付いてる。


私にも悪いところがあったんだって。


あのとき、りんと翔平が付き合い始めてすぐのあのとき。


りんに言えばよかったんだ。


“信じてたのに。りんのこと、信じてたのに”


って、すぐに言えればよかった。


そしたらきっと今もりんのことを恨んではいなかったと思うし、こんなにも後悔をすることもなかったと思う。


私って、本当に弱い人間だな……。


駅へ向かう道端に転がっている小さな石ころを軽く蹴り飛ばすと、今の自分の気持ちをほんの少しだけスカッとさせることができた。


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