太陽を追いかけて


今でも自分の自由の時間を犠牲にしてまで毎日毎日働いてくれているお母さんに、もっと負担をかけるようなことはしたくない。


だからやっぱり、言えないや。


私はお母さんにバレないよう、心の中でため息をつく。


……私は、いつもそうだ。


お母さんの顔色ばっかりうかがって、自分の思ってることが何も言えない。


それはお母さんのことが好きだから。


お母さんを、もうこれ以上私のせいで苦しめたくないと思ってるから。


だから、私はいっつもいっつも自分の思ってることを心の奥底に沈めるんだ。


お母さんには笑っててほしい。


私が“いい子”でいることでお母さんが喜んでくれるなら、私はずっとお母さんの望むような“いい子”でいなきゃならない。


「……愛莉?」


お母さんが心配そうに私のそばにくる。


私はそんなお母さんにあわてて笑顔を返すと、


「そろそろ学校に行かなきゃ」


って近くにあったスクールバックを手に取った。


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