その体温に包まれたい
*その体温に包まれたい



「う~~寒い……」



深く息を吐きながら、自分のからだを抱きしめるように二の腕をさすった。

時刻はとうに21時をまわったオフィス。ひとりきりのその空間、小心者な私には堂々と暖房を入れることはしのびなくて。

さっきからちょくちょくキーボードを叩く手を止めては、少しでも暖をとろうとからだをあちこちさすったりしている。

まだ、季節は冬とも言えない頃。けれども万年冷え性な私にとっては、朝晩がぐっと冷えるようになってきたこの時期は本当に辛くて仕方ないのだ。


もう少し。あとちょっとがんばれば、家に帰ってあたたかいルームウェアにくるまれながらぬくぬくできる。

かじかんでうまく動いてくれない両手に息を吹きかけ、よし、と再びパソコン画面に向き直ろうとしたそのとき。
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