王子様の献身と憂鬱

「すみません、あと少しで終わります!」


「ああ、折角だから手伝うよ。残り半分貸して」


「いやでも私の仕事ですから」


「金曜だし残業なんてさっさと終わらせよう。二人共腹減らない?奢るから飯食って帰ろうよ」


 爽やかに放たれたその言葉に彼女達が顔を見合わせる。
 そして一人はニヤリと人の悪い笑みを浮かべ、一人は微かに顔を赤くした。


「すみませーん、あたしは彼が家で待ってるので遠慮します。映見連れて行ってやって下さい。さっきお腹空いたって喚いてたし」


「ちょっと麻里!」


「そっか。じゃあ日下さん何食べたいか考えといて。谷原さん、そっちのも半分貸して」


「はーい、ありがとうございます」


「……ありがとう、ございます」

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