仮氏
「じゃあさ!」

彼は閃いたように言う。

「さっき買ったやつ」

「え?」

「アンクレット!だってみんな食べ物ばっかりじゃん!」

「そうだけど…」

「そういうのでもいいんですよね?」

彼が編集の人に聞くと、もちろん、という答えが返ってきた。
物を見せると、せっかくなので撮影させてほしいと言われた。

「隼くんだけでよくない?」

「はぁ?これもなんかの記念だから莉音も強制」

「えぇ…」

「いいじゃん、なんかこういうの!」

彼はニコニコしている。
なんだか彼に流されるまま、私も足首にそれを巻いた。
撮影されるってわかっていたら、もっとかわいい靴を履いてきたのに。
そんな私の気持ちはおかまいなしに、彼の足と私の足を写すシャッター音がする。
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