仮氏
私たちの関係は、後退するわけでもなくかと言って前進するわけでもなく、変わらず続いていた。
私自身も別にどうなりたいという思いもなく、ただかれと過ごす非日常的な世界をひたすらに楽しんでいた。
あえて言うなら、この時間がずっと続いてくれたらなぁ、と思うくらいだった。

だけど、良くないことは必ず起きる。

「莉音はさぁ、今まで付き合った人との間に子供できたとかある?」

「え、いきなり何?」

「いやー、そういうのあんのかなー?って」

「ないわね、一度も」

「…そっか」

ベッドに横たわって煙草を吸う彼は、そう言った。
私はそれをソファーで聞いた。
私の答えに対する返事の前のわずかな間が気になる。

「なんでそんなこと聞いてくるの?」

聞かなきゃいいのに聞いてしまった私。
自分のこういうところが心底嫌になる。
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