仮氏
そんなことがあってからも、彼は変わらず私と過ごしてくれた。
心の中ではどう思ったかなんてわからない。
だけど変わらず接してくれるから、私は言ったことに後悔はしていたけど謝れなかった。

あの日以来、私は彼の特別な存在になるわけでもなく、関係が続くのならずっとこのままなんだろうなという思いが頭の中にあって忘れられなくなった。
別にそれでいいと思ってやってきたわけだから、不都合なんてない。
だけど、そんな自分とは裏腹に心が苦しくなった。


「大阪…ですか?」


そんな時だった。
先生の知り合いの司法書士さんが大阪に事務所を構えるらしい。
そこで事務の主任として働いてみないか?と先生からお話しがあった。
乗り気でなければ断るし、興味があるなら一度あちらともあって話だけでも聞いてみたらいいと先生は仰った。
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