仮氏
このまま、もう会わないという気持ちを貫き通してたらよかったのかもしれない。
結局曖昧なままの私たちに戻ってしまうわけだから。
だけど、頭のほんの片隅に彼がいてどうしようにも追い出すことができない。


「莉音はドライなんだなーとは思ってたけど、ドライ過ぎて逆にビビったわ」

「は?」

「わかりづらいし、めんどくさいし、素直じゃないし…」

「さすがに傷つくんですけど」

「でも、こうやってわかってくのは悪くない」


なんの気なしに彼は言ってるのかもしれない。
だけど、そんな彼の言葉が私の心を揺さぶる。

「もう忘れてとか簡単に言わない?」

「さぁね?めんどくさいから、私」

私のそんな返事に彼はぶはっと笑った。



また私たちの関係は元に戻ってしまった。
彼の言葉に私の心が揺さぶられること以外は。
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