仮氏
「莉音ってさ、お母さん亡くしてるんだよね」

「うん、そうだよー」

「なんでとか聞いたら怒る?」

「別に怒んないよ!…くも膜下出血でいきなり倒れたの。手術もして、成功はしたんだけどそのあとの合併症で亡くなったの」

「悲しい?」

「時間が経てばとか言うけど、今でも悲しいよ」

「…莉音はすごいなぁ」

「すごいって何が?」

「俺、小さい時だけど爺ちゃん亡くしてんだよね。その時ガキだったけどちょー悲しかったの今でも覚えてるもん。親が死んだらとか考えたらちょーつらいわ」

そう言ってソファーに沈む彼。

「その時になったらなんとかなるもんよ?実際私も何とかなったんだから」

そんな私を見た彼は、私の頭を優しく撫でた。
それだけで、胸のドキドキが早くなる。
頼んだオレンジティーの味がどんなものだったのか、今でも思い出せない。
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