仮氏
別にいまさらもったいぶるような年齢でもないけど、いいのかな?って迷う私がいる。
こんなことが初めてなわけじゃないけど…。

「お待たせー」

彼が戻ってきた。ただ運転席に座っただけなのにそれだけでドキドキする。

「莉音」

そう名前を呼ばれるだけで、胸がざわざわする。

「ん?」

それを気付かれないように返事をする私。

彼と視線がぶつかる。
彼の顔が近づくから、私は自然に目を閉じた。
優しく唇が重なった。

「ね、引いた?」

「引いてはいない」

「莉音としたい。ダメ?」

「…いいよ」

彼はいつもズルい。
そうやってキスされたら、そんなふうに見つめられたら、私はうんとしか言えなくなる。
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