仮氏
やめやめ。
別に必ず返事をしなきゃいけないなんて決まりもないし、そもそも私たちはそういう関係ではないんだから。
ちょっぴり自分に言い聞かせた。
自然と足はplanetに向いていた。


「お、久しぶり」

顔馴染みのバーテンが声をかけてくれる。
私はカウンターに座り、荷物をどさっと置いた。

「またまた今日は大荷物だね」

「出張の帰りなの」

「ご苦労様。何にする?」

「グラスホッパーにしようかな」

「了解」

ゆっくり味わいながら、ぼんやりする。
こんな時間が好きで、私はよくここに来ていた。
そういえば、彼ときちんと会ったのもここから帰る途中だった。

(…って何考えてるんだろ、私)

私はふとした時に彼を思い出してしまうことはあるけれど、それはきっと私だけで、彼はきっと今頃他の誰かと一緒にいるに違いない。





また胸がチクっと痛む。
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