史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「ルールなんてすぐ覚えられるよ〜。
俺、教えるしさ」

その時だった。


ーーーガシャン。 パリーン。


「あんたって最低ねっ」


私の真後でグラスが割れる音とヒステリックな女の怒鳴り声が響いた。

思わず振り返りたくなったけど、どう考えてもカップルの修羅場だ。
ジロジロ見るもんじゃないと思い直して我慢した。

爽やか君も一瞬そちらに視線を向けたけど、すぐに何事もなかったように会話に戻る。

とは言っても、私も爽やか君も耳は後ろのカップルに釘付けだ。



「ーーーだろ」

カップルの男の方は冷静だ。
落ち着いた口調で話しているから、残念ながら何を言ってるのか聞き取れない。


「だけどっ、急に別れるなんて私は納得いかない。 認めないからっ」

彼女の方はもう周りの目なんて気にしてない。
甲高い涙声で訴えていた。


男の方が突然別れ話を切り出したってところかしら。

「ーーーだから」

「うっ・・・うわーん」

彼女は子供みたく泣きじゃくり始めた。

さすがに周りのお客さんもチラチラと視線を向けている。


彼女の泣き声を遮るように、男の冷たい言葉が突き刺さる。

「しつこいな。最初から付き合う気はないってはっきり言ってあっただろ。

女は消耗品なんだよ、お前も含めてな」

決して声を荒げたわけではない。

けど、低く鋭い声が今度は私の耳にもしっかりと届いた。
< 11 / 72 >

この作品をシェア

pagetop