史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「すみません。ちょっと疲れが溜まってて。 今日はお先に失礼します」

ろくに霧島さんの顔も見ずに、そそくさと荷物をまとめた。

今日は帰ろう。

霧島さんにおかしな事を言ってしまう前に。

私は霧島さんに軽く頭をさげてから、フロアを出る。




「佐倉」

下りエレベーターを待っている私を霧島さんが呼び止めた。
わざわざ追いかけてきてくれたみたいだ。

「これ、大阪みやげ。今日はゆっくり寝ろ。明日は外出ってことにしとくから、多少寝坊してもいいよ」

霧島さんは小さな包みを私の胸に押し付けた。
エメラルドグリーンの紙袋は大阪に本店がある洋菓子店のものだ。

マカロンが美味しくて、大好きなお店だった。


「・・ありがとうございます」

忙しいスケジュールのなかお土産を買ってきてくれた事は素直に嬉しいのに、やっぱり上手に笑顔を作れなかった。

「そういう不機嫌な顔も可愛いじゃん」

「は!? 急に何言ってんですか」

会社での霧島さんらしくない言動に、思わず声が裏返る。

「佐倉はさ、感情のコントロールがうますぎるんだよ。仕事する上では美点だけど、結構疲れるだろ。

たまにはイライラした顔見せたっていい
んだから、あんま無理すんな」

「優しい霧島さんなんて、らしくなさ過ぎて怖いです」


大体、イライラさせてる張本人にそんなこと言われても・・・



霧島さんのバカ。



霧島さんのくれた洋菓子には私の大好きなマカロンがちゃんと入っていた。

マカロンをやけ食いして、その日は夢も見ずにぐっすり眠った。
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