史上最悪!?な彼と溺甘オフィス
「そんな・・・」

それ以上の言葉は出てこなかった。

夢見ヶ丘テラスは私にとって初めて抜擢された大きな仕事だったのに。

霧島さんも私の仕事のやり方を認めてくれていた。
恋人にはなれなくても、仕事では最高のパートナーでいたかった。


「ふー。まぁ、とにかくだな」

課長の大きな溜息で現実に引き戻される。

「古くから付き合いのある国内のアパレルに頼み込んで、何らかのブランドに出店してもらう方向だ。
目新しいものは難しいだろうが、やむを得ないだろう。

佐倉には広報部との調整を頼む」


「そんな・・・ダメです」


「ん?」


「嫌です!!ウィザーの区画は施設の顔じゃないですか!? ありがちなブランドじゃ台無しです。 ウィザーがダメなら、同じくらいインパクトのあるブランドを探します!!」

私は思わずそう叫んでいた。
上司にたてつくなんて入社以来初めての経験だ。


課長はそんな私を怒ることも呆れることもしなかった。


「うーん。 佐倉の気持ちもわかるけどな、時間が無いことは担当者のお前が一番よくわかってるだろ。
頑張った結果、見つからなかったらどうする?
万が一にもあの区画が空いたままだったらどうなるか・・・わかるだろ?」

課長は私なんかよりずっと経験豊富だ。
あらゆる選択肢を考えた上で、今回は妥協するという結論に達したんだろう。


「けど・・・」

「申し訳ありません、課長。 佐倉には俺からよく話します。
課長の指示通り、国内アパレル会社との調整に至急動き出します」


しつこく食い下がろうとした私を遮って、霧島さんが頭を下げた。
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