幼馴染みの期限
紫山(しざん)』を出て、駅前商店街を抜ける。そして、少しだけ歩くとゆるやかな登り坂が見える道に出る。そこは、私と広海の家がある住宅街へと続く坂道だ。


いつもの帰り道、いつもの距離を二人で歩く。


まだちゃんと酔いが抜けていない私は、いつもよりかなりゆっくりと歩いていて、広海は何も言わなくても、そんなスローペースな私にちゃんと歩調を合わせてくれている。


だけど、寄り添って歩いてる訳じゃなくて、私と広海の間には少しだけ隙間が空いてしまっている。



……たぶん、大和くんにがっつき過ぎだって言われたのを気にしてるんだよね。


私が大和くんに話したのは勘違いだって分かってくれたとは思うんだけど、才加には相談したのかも……って思われちゃったのかなぁ。


触れてこないのは、私の気持ちが追い付くまで待ってくれている広海の優しさなんだって分かってはいるんだけど、今日はなんだかその優しさが寂しい。


二人の間を夜の冷たい風がすり抜けていくような感覚がして、思わず身震いをしてしまった。



……広海は、分かってない。



私が広海と距離を縮められないのは、広海ががっつく(・・・・)からじゃない。広海の事が怖い訳でもない。


広海が好きで、おかしくなってしまいそうになる自分が怖いから。


決して触れられたくない訳じゃない。



……そういう気持ちも分かって欲しい。

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