最後のひとしずくまで
「やっぱり、泣いてたんだ」
そう言って困ったように眉を下げて、悲しげにつぶやく彼にはっとする。
「す、すみません、お茶の準備遅かったですよね。こんなこともできなくて、本当もう、嫌になる……」
えへへと笑ってコーヒーを慌てて注げば、
「あっつ、ぅ……」
鈍臭いわたしはこぼしてしまい、手の甲にかかってしまう。
「ばか、なにやってんの!」
「え」
手首を伝い、水で冷やされる手の甲。
ブラウス越しの腕に肩に背に感じる、先輩のぬくもり。
わたしは先輩に抱き寄せられる形で火傷を冷やしていた。
はくはくと唇を動かして、だけど声を出すこともできず体温だけが上がっていく。
患部より彼に触れているところがじりじりと甘く痛む。
「大丈夫、か……?」
ほっと吐く息が、わたしの耳をかすめた。
「あの、ご迷惑おかけしてしまって……!」
「いや、いいよ。でも気をつけないとだめだよ」
「すみません、……すみません」
心配そうな表情に申し訳なさが募り、どうしようもなくなる。
書類を作れば間違いばかり。
電話を受ければ噛んでしまう。
そしてただお茶を入れるだけのこともできない。
わたしはなんて役立たずなんだろう。
唇を噛み締めると、先輩の手がわたしの頬を包みこむ。
「謝らないで」
「せん、ぱい……」
「君はよく頑張ってる」