【完】最初は、それだけだったのに。


「それはね、『恋』だよ。恋!」



ビシッと指を指して言い放った絵麻は喜んでいるのか微笑んでいた。



こ、い…?


『恋』という言葉が私の頭をぐるぐると回る。


その後ストンと落ちていった。




あぁ、私、彼に恋をしてるんだ。


だからこんなに胸が熱く、苦しくなるんだ。


ずっと分からなかった気持ちにしっくりした私は絵麻に笑顔を見せた。




「絵麻、ありがとう。大好き!」


ギュッと絵麻に抱きつくと絵麻も私もだよ〜と泣きそうな声で抱きしめ返してくれた。




「それより文香。このあとはどうするの?」


抱きしめていた手を離すと絵麻が聞いてきた。


どうするって…。


「このあとって言われても…。別にどうもしないよ。告白とかするつもりないし。」


「えっ…話聞いてると脈ありそうなのにもったいない!」


ひとり残念そうに声を出す絵麻にクスッと笑う。


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