フテキな片想い
私は伸びをして、そのまま仰向けに倒れた。
「キレイ、やっぱり作り物でも、癒されるなぁ」
玲央さんは何も言わずに、背中を丸めて隣に座っている。
暫くお互い黙ったまま、ゆっくりと回転する星空を眺めていた。
「私ね、ずっと一人でも平気だって思ってたんです。ママが仕事忙しくて、いつも家にいなくて、毎日一人で誰もいない家に帰って、適当にご飯を済ませて、それが日常だって思うようにしてた。この家に引っ越して来てからは、朝ごはんはみんなで食卓に着いて、「おはよう」って言い合ったり、御寝坊の真央を起こしたり、バイトで帰りが遅くなっても、玲央さんご飯を作って帰りを待っててくれたり、こうして話をしたり、何気ない瞬間に、居心地の良さを感じるんですよね。一緒に話ができる誰かがいるのはいい。私、寂しんぼだったんだなぁって気付きました」
この家もフシギな家族関係も、気付いたら大切になってた。
真央の気持ちを知ってしまった以上、今までのように姉弟のような関係を続けるのも難しいかもしれない。
けれど今の私の気持ちは___
「朝ごはんの食卓に空席があるのは、やっぱり寂しいですね。寝起き悪くて不機嫌でも、話してる傍から、嫌味言われても、真央が私の前の席にいないのは寂しい……」