フテキな片想い
美雨@デートな日曜日


十月に入ると、一気に周りの景色が秋らしくなって来た。


高い秋空には、鱗雲が重なって、時折、頬に当たる風は少し冷たくなった気がする。


ポカポカとした小春日和の日曜日。


まさにデート日和だ。


デートと言っても、相手は幡谷先輩……じゃなくて、「つばさん」だけど。


結局、先輩に「つばさ」と名前で気軽に呼び捨て出来ずに、「つばさん」という呼び方で定着している。


「つばさでいいのに」とつばさんは苦笑しつつも、「いいよ、美雨が好きなように呼んでくれれば」と言ってくれた。


つばさんは、私を「美雨」と呼び捨てしてくれている。


距離が縮まったような気がして、恥ずかしいのと同時に嬉しくもある。


今日は、そんなつばさんと二人きりで出掛けるのだ。


「美雨ばっかり、ずるい!」って言われそうだから、芽衣子には今日の事は内緒にしていた。


ごめんね、芽衣子。


つばさんから、今度二人で出掛けない?ってお誘いがあって、芽衣子も一緒にって、今回は言えなかった。


だって____



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