閉じたまぶたの裏側で
「苦しいよ、離して。」

「離さない。芙佳は誰にも渡さない。」

どの口がその言葉を吐けるの?

私はあなたの物じゃない!!

「いい加減にしてよ!!私と付き合ってたくせに他の人と結婚したのはあなたでしょ?!」

「俺だって…好きで結婚したんじゃない。本当は芙佳と…。」

今更そんな言葉は聞きたくない。

私はありったけの力を振り絞って勲の体を押し返した。

「もういい、帰って!!二度と来ないで!!」

「…イヤだ。」

勲は投げ出すように私をベッドに押し倒して覆い被さった。

私の体を動けないように押さえ込み、強引にシャツをたくしあげて肌に舌を這わせる。

「いや!やめて!!」

「俺が好きなのは芙佳だけだ。他の男になんか絶対に渡さない。」

勲の手は乱暴に私の体をまさぐり、性急にその先を求める。

鎖骨の辺りや首筋に押しあてられた勲の唇は、痕が残るほど強い力で肌に吸い付いた。

「芙佳…好きだ…。どこへも行くな…。」

「もうやだ…やめてよ…。」

どんなに好きでも手に入らないのに、勲は私を手放そうとしない。

私が求めても手に入るのは、欲情に駆られた勲の体だけだ。

それなのに私の体は熱に浮かされ、また勲を受け入れてしまう。

勲は焦りと苛立ちをぶつけるように、私の体を乱暴に貪り、強引に突き上げた。



こんなの愛でもなんでもない。




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