閉じたまぶたの裏側で
仕事の後、いつものように應汰と食事の約束をした。

この関係も、もう随分続いている。

毎日ではないけど昼も社員食堂で一緒に昼食を取る事もあるし、会社の外で二人でいるところを社内の人たちに見られる事もよくあるので、もしかしたら私と應汰が付き合っていると思っている人もいるんじゃないか。

應汰とデートをしてから、かれこれ1ヶ月。

高い店には行かなくても、こう毎日だと経済的に苦しくはないかと心配になる。

もちろん私もいくらかは払うけど、應汰の方が多くお金を出しているのは間違いない。

今日は金曜日だし、どこに行っても混んでいるだろうな。


いつもより少し遅くなると言っていた通り、應汰は定時から30分遅れて休憩スペースにやって来た。

「芙佳、お待たせ。」

「うん。お疲れ様。」

エレベーターホールで並んでエレベーターを待ちながら應汰と話していると、随分近い間隔で隣に誰かが立った。

やけに近いなと思ってそちらを見たら、隣に立っていたのは険しい顔をした勲だった。

「…お疲れ様。」

「あ…お疲れ様です。」

勲はまた何かを言いたげな目で私を見ている。

私はたまらず視線をそらした。

エレベーターが到着してドアが開くと、中には上の階から乗ってきた社員が数人いた。

エレベーターに乗り込んでも、勲は私の隣に立った。



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