閉じたまぶたの裏側で
一通りの仕事が終わり、両親と一緒に軽い昼食を済ませた。

ロビーの受付カウンターの中でコーヒーを飲みながら、のんびりとホームページのチェックをしていると、玄関のドアベルがカランカランと音をたてた。

まだチェックインの時間には早いのに、予約のお客さんが早く着いたのかな。

「すみません。」

玄関で男の人の声がした。

「ハイ。」

私はカウンターから出て玄関の方を見た。

「……え?」

「よぅ、芙佳。久しぶり。」

そこに立っているのは紛れもなく應汰だった。

両親のペンションを手伝う事は部長にしか伝えていないし、場所だって会社の誰にも教えていない。

それなのになぜ應汰がここにいるの?

「え…?なんで…?」

「言っただろ?俺はしつこいぞ。」

應汰は驚き立ち尽くしている私のそばにゆっくりと歩いてきて、包み込むように優しく私を抱きしめた。

「なんにも言わずに勝手に俺の前から消えて、本気で心配したんだからな。」

「ごめん…。」

「すっげぇ探した。会いたかった。」

「うん…。」

あまりの驚きで言葉が出てこない。

應汰が目の前にいる事が信じられない。



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