おいしい時間 しあわせのカタチ

 翌日。
 
 寝ぼけ眼で庭先を掃き終え、ようよう品揃えが充実してきただろうかという頃合いを狙ってスーパーに足を運び、リストアップしてきた食材を購う。

 しかしこれはあくまで佐希子個人に任せられた料理に必要な分だけであって、お品書きに載っている料理に使う分は別に頼んで仕入れている。そちらは板場の三人に委ねていた。


「おう、佐希ちゃん、早いね」

「おはようございます。そうですか? 社長よりかはずっと寝坊助さんですよ」

「はは。けどそりゃ、そもそもの寝る時間がちがうからな」


 快活な中年の、通称【社長】は、ここ、スーパー小畑で代表取締役をつとめる小畑さんで、彼もまた枡屋には欠かせない常連のひとりである。

 たるんだお腹で足が見れない、ザ・メタボさんだが、そのわりにフットワークが軽快で、地元の草野球チームにも所属していることから、陰で、走る土偶と呼ばれている。


「――ところで社長、今日のおすすめはなにかあります?」

「ん? 今日かい? そうだなぁ……、名残りのさんまが入ってるよ。ちょっと高いけど、脂がのってる。あとは里芋と……、ああそうだ、セロリが思いがけず大量に入ってきたんだ。どうだい?」


 社長は目を輝かせてすすめる。

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