おいしい時間 しあわせのカタチ

 受け取ったスープを飴色になるまでじっくり炒めた玉ねぎの鍋に注いでいく。

 玉ねぎの甘い匂いと、ブイヨンのふくよかで格式高い香りが相まった極上の湯気に包まれるこの幸せ。

 加熱によって水かさの増えた刻み野菜の鍋に、ホールトマトを一気に入れて、ふたたび煮込みながら水気を飛ばす。

 これを注文されてからふわふわのオムレツで包むと、女性客はことのほか喜ぶのだ。
 

「丹後さん、あとでこれ、よろしくお願いします」


 と肉団子の並んだバットを渡す。

 委細承知という顔で受け取って、丹後さんはそれを慎重に冷蔵庫に移した。


「そろそろ暖簾出してきますね」


 ひととおりの掃除を済ませると、佐希子は三人の手元の具合を確認したのち、玄関へ向かった。


 金曜の夜はおおむね繁盛するもので、こちらとしてはありがたい悲鳴だが、今宵はとくにめまぐるしい。

 というのも、予想だにせず、五人以上でのまとまった来店がつづいたためだ。

 出すものをひととおり出し終えて、酒も回りだし、いずれも座が落ち着いてきた頃になってようやく、佳織が店にやってきた。

 昨夕、玄関先で見かけたときに比べればずいぶんマシな顔色である。

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