おいしい時間 しあわせのカタチ

 ビールは冷蔵庫、お肉はチルド室、野菜は倉庫が今の時期ならそのままクーラーボックス代わりになる。

 お店の厨房でくるくると忙しく立ち働く三人の板前たちが湯気の奥に見える。

 夜の仕込みをはじめる時間はおおむね決まっているが、佐希子はそれよりも早い時間から台所に立ち、自身の作業に追われていた。

 細かく刻んだセロリを含む香草と野菜を、炒めた挽き肉がジュウジュウ言う鍋に移し、ごくごく少量の水を入れて再度火にかける。

 別に取り分けておいた分を白っぽくなるまで捏ねた合いびき肉に混ぜて団子状に丸め、バットに並べる。

 とそこへ、


「お待ちどうさまでーす。ブイヨンできあがりましたー」

「ありがとう。いい匂い。すごくきれい」


 手放しで褒めると、根岸くんは鼻の下をこすって、恐れ入ります、と嬉しそうだ。

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