おいしい時間 しあわせのカタチ


「――あ、すいません俺、なんかつっけんどんな言い方しちゃって。生意気でしたよね」


 気落ちしたようにそう言った。

 他意はなかったのだが、急に黙り込んだせいで、気分を害させたと思ったらしい。


「え? ううん、別に気づかなかったけど。寒いんじゃない? 暖房あげようか」

「え、ああいや、俺は平気です」

「そう。――あ、見て根岸くん、おでんの幟よ。ああ、今日はおでんで一杯やりたいな」


 帰り道の県道沿いに、コンビニがあった。駐車場を囲むようにおでんとスイーツの幟が交互に立っている。


「店で出すなら明日っすね。おでんは一日がかりだから。まさか佐希子さんがコンビニのおでんを食べたりはしないでしょ?」

「ときどき食べるよ」

「ええっ」

「お客さんがお酒のあてにしようって持ち込んでくるの。失礼しちゃうわぁ、なんて言いながら、でも結局それでいっしょに飲んじゃうのよねぇ。それが美味しいから悔しくて」

「はあ……」


 おかえりなさい、との声に迎えられ、店の前を掃いてくれていた丹後くんに、ただいま、を返す。ちいさい店だからこそ、従業員はみんな家族みたいな間柄だ。

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