可愛いなんて思ってない!
「クク…なぁ小林。
自分今どんな顔して俺のこと見てるか、自覚ないやろ?」
「は、はぁっ……?!」
少し頬を染めながら
ニヤッと笑う秦山が
意地悪な声で、私に言う。
ど、どんな顔って…どんな顔よ?!
私がムキになって
意味わからない!とそっぽを向いても
秦山はクスクスと小さく笑うだけだった。
(うぅ…本当にこいつは人のことバカにして…っ!)
嬉しいような悔しいようなこの気持ちに
私は複雑な顔を浮かべる。
正直、こんなことになるなんて
自分でも思っていなくて びっくりだった。
(覚悟してって、最初に言ったの私だけど…。)
本音を言えば
自信なんてなかった。
秦山がどれほどユカリのことを好きかは
知っていたし
自分に彼を振り向かせるだけの何かがあるわけでもなかった。
…ただ、私が素直に秦山に近づいただけ。
(それだけだったんだけどなぁ…。)
そこで私の何が
彼を動かしたのか、自分でもよく分からなかった。
「…ん、ほら小林 空いたで。
これでもう大丈夫やろ。」
人多かったなぁ、ホンマ。
と 人が降りて行った扉の方を見ながら
秦山が私の隣に立つ。
「…ありがとう。」
「どーいたしまして。」
そう満足そうに笑う秦山。
そんな秦山の姿に
私はうっ…と少し心打たれて
少しだけ早まる心臓の音を感じた。
「…なぁ、今日俺ん家来ぃひん?」
「っ、?!」
そんな時
突然秦山がそんな提案を私に投げかける。
(は…はぁ……?!?!)